紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2020.11.26 本の読了後感想

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読了後の本感想。走り書き

上達の法則 効率のよい努力を科学する(岡本浩一

様々な分野で上達を極めた人とそうではない人の違いを考察した本。

上達の状態や初心者、中級者、上級者を定義し、その力学を記憶と認知の心理学に基づき考察している。どちらかと言うと考察メインの本で、上達に関するHow to本ではない。上達How toを求めるなら読む本ではないが、上達とはなんぞや?を突き詰めたい人にはそこそこ楽しめる本。なので、上達したい。上達の早道を見つけたい。キット抜け道があるはず。と思って手に取ると拍子抜けする。得られる知識は多いが、それを自身に生かすには工夫がいるし、その工夫が出来る人が上達するのだと感じた。

本書を読んでいて「うわぁ…」と思った部分抜粋。

第三章上達した人はどこが違うのかより

人格的な安定感がある。

何か一つの技能でも上級の域に達した人は、その過程で人格的な安定感を身に付ける。日々の生活のなかで上手に時間を作り、情熱を数年にわたって静かに燃やし続けるという生活の継続によって生まれる安定感である。(略)「やればできる」というような根性主義の自信ではない。合理的に考え、じっくり時間をかければ、見え方の違う次元に昇ることが出来るという自覚である。(略)すると、その他の大部分のことでは、自分も中級者以下だから、自分には簡単にわからないものがあるということも納得できる。そういう意味での謙虚さのようなものが身につく。

 

全く、対人ゲーム中に煽ったり荒らししてる連中に100回煎じて飲ませたい概念だな。

本書の通りなら、世の中にこの領域まで辿り着いている上級者は本当に少ないことにも概ね納得できる。また、最後の部分で日本教育に付いての心配を吐露する部分にも感じるものがあった。

4章からは上達するための方法に付いても簡単にまとめてある。自分が得意なものにこだわり、全体の俯瞰図を見る。ノートをとることを習慣にする。言語化しにくいものを記録するために言語化しようとする。ノートをとるまで覚えようとするため負荷が掛かる。見返すことで、追体験や反復復習を可能となる。概論書・理論書を読む。一つのものを深め精密練習を繰り返す。大量の暗記と暗唱をする。可能な限り模倣し覚えようとする。文節の間、呼吸のタイミング、ここの構図に目をつけるなんて凄いと感心する。この努力が情報処理能力を豊かにし、感性を豊かにする。

目新しい、魔法の方法はないが、文章に起こされ何故これが大切なのかと解かれると納得する部分が多くあった。

私も上達したい。

 動物に「うつ」はあるのか 「心の病」がなくなる日(加藤忠史)

ほうほう!と思って手に取った本。

内容は悪くないんだけども、タイトルの内容に期待して読むと物足りない。タイトルと内容が釣り合ってないかな。

精神科医精神疾患治療薬の開発と動物実験、基礎研究と臨床研究の乖離について書いた本。精神疾患の研究内容としては、本自体が8年前なので、少し古いのかな?と感じた。内容の半分は、新薬開発に対する動物実験の是非と困難さが研究者の実体験から書かれている。

読み物としては面白い。特に動物実験の是非に付いては、日本と外国とで対応が異なる部分が興味深いと感じた。筆者の研究所では年1回動物慰霊祭を行っている。しかし、このような慰霊祭が盛んに行われているのは日本や韓国などで、アメリカでは一般的ではない。アメリカの獣医師が慰霊祭の内容に興味を持ち、学術雑誌で詳しく報告している。また、日本でも動物実験の法規制見直しが検討されているとのことでした。

日本では食事の際にはいただきますと言いますが、これは英語で略せないそうです。日本人は毎日食材に感謝しつつ暮らしている。宗教上の差ではないかという考察。

うーん、興味深い。でも、タイトルからの何故は解明できない。

動物に「うつ」はあるのか (PHP新書)

動物に「うつ」はあるのか (PHP新書)

  • 作者:加藤 忠史
  • 発売日: 2012/05/16
  • メディア: 新書
 
世界現代怪異事典(朝里樹)

読もうと思って積んでいた怪異紹介事典。本書はアジア、オセアニア、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、その他(特定の地域に絞られる事なく世界的に広まっている怪異)の順に50音順に紹介している。日本現代怪異事典も買ったので、その流れで買ってきた。

まぁ、要はTRPGシナリオのネタに使えないかなって言う魂胆だったのだけれど(正直)

量はあるのだが、それぞれの項目が薄く、既存のまとめからの引用などが目立つ。それでも、日本に住んでいればご当地ネタ的な怪異の知識が薄いだろうから、その引き出しとしては使えると思う。しかし、その項目一つで話を発展させるのは難しいので、幾つか複合するなり、自分で更に情報を深堀りしないととても難しいかなと思った。何目線の感想だって話なんだけども……。

 そういう目的で手を出した本なので、ちょっと物足りなかったなと言う感想だった。

世界現代怪異事典

世界現代怪異事典

  • 作者:樹, 朝里
  • 発売日: 2020/06/22
  • メディア: 単行本