紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2021.04.12~04.16 読了後の本感想

スポンサーリンク

午前中ずっと眠いしだるい

人生を面白くする 本物の教養(出口治明

教養とは人生における面白いことを増やすためのツールで、ビジネス社会を生き抜く最強の武器だ。本物の教養はどうしたら身につけられるのか?起業家の著者が考えを書き連ねた本。

この著者は、社会問題に対して、独自視点を持っている。一貫して、本書では自身で考えることが肝要である。と主張している。そのため、社会問題について書いてはいるが問題の打ちっぱなしが多い印象を受けた。

最終章は、自分のビジネススタイルについて書いている。本書は自身の会社の宣伝にもなると捉えている。そういう宣伝書籍の空気感が嫌な人は、恐らく後味が悪い。

総合的には面白い本ではあったのだが、シェイクスピアが面白い。教養だ。と言われると首を捻るところはある。古典文学は当然文化の土台だと思うが、そこから思考を重ねブラッシュアップした文化が現代の文化だとも思う。近年の漫画やゲームには教養がない、文化性に乏しいかといえばそんなことない。

また、日本の社長や役員は教養がないと切り捨てているのだが、えぇ……ホントにござるかぁ?と思ったりもした。年功序列のお陰で昇格したおじさんも当然居るが、実際の社長さんたちに逢うと勉強しているし、興味に対してとても熱心な方も多い。

本書では「私のような大学も出ていない年をとった無知な女でも、まだ道端に咲いている花の名前を一日に一つぐらいは覚えることができる。一つ名前を知れば、世界の謎が一つ解けたことになる。その分だけ人生と世界は単純になっていく。だからこそ、人生は楽しく、生きることは素晴らしい」と、ココシャネルの言葉を引用している。これは本当にいい言葉だと思う。ただ、日本の経営者が英語を話せないのは英語教育の問題ではなく、教養のなさでもある。教養を身に付けるには腑に落ちるまで自分の頭で考えることだと強調している。これは腑に落ちないと感じた。

ただ「教養は、人生におけるワクワクすること、面白いことを増やすツール」という主張には納得感を覚えたし、「今更もう遅い」はサボるための言い訳と切り捨てる潔さにも感銘を覚えた。

人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

  • 作者:出口 治明
  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: 新書
 
みんなが欲しかった!FPの教科書(滝澤ななみ)

資格勉強をしよう、というよりは税金のことよく知らないから読み物として手を出した。資格取得のための本。

私にとっては知らないことがたくさん書いてあって面白かった。こ、これがコナンに出てくる遺言とか遺産相続問題か……!!みたいな感じ。医療関係に関しては多少勉強しているので、なんとなく分かるのだが不動産関係は完全ド初見なので新鮮だった。

資格テストとしては「道具を覚えればOK」ぐらいのレベルかな?と思った。100時間もいらないだろうな。ちゃんと時間をかければ7割は普通に取れそう。

テキストとしてはキレイに纏まっている本。なんでも枠で囲ってあったり、さらっと書いてあるから逆にどこが重要なのかわかりにくい。読むだけでは記憶に残らないので、別途問題集を解いておかないと資格合格はちょっとしんどいかなと思った。これ1冊で完結するのはちょっと怖いとは思う。

ただ、綺麗に纏まっているのでとりあえず手を出すのにはいいテキストだなと思った。

税金関係の知識は身に付けたいので、別途問題集も買ってみたい。

みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2020-2021年 (みんなが欲しかった! シリーズ)
 
ワイルド全集3(オスカー・ワイルド

第五人格の墓守考察を見ていたら、名前が出てきたのでとりあえず目に付いたやつを引っつかんだ本。

私は歌手も作者も基本見ないし意識しないで触れていることが多いのだが、流石に「幸福な王子」は「あ、これどっかで読んだことある」と思った。童話も書いてたのか。というか、この話の著者はそんな名前の人だったのか……!昔から本当に著者名気にしなさすぎである。今読むと、童話と言うにはドライと言うか、淡々?寒々しい?話が多いなと思った。寂しい。

童話と曲劇が収録されているので、本書の大部分は曲劇。曲劇は本当に知識がないので、台本読んでいる気分であんまり面白くなかった。普通に公演でみたい。

図説 英国貴族の令嬢 増補新装版(村上リコ

黒執事の作者さんが名前を出していて、ほう?と思って手に取った本。

栄華を極めた19世紀から20世紀初頭の英国。由緒正しい貴族の家に生まれた令嬢たちの日常やその裏側の現実をまとめた本。生まれてから死ぬまでの流れに沿ってまとめている。図説とは?と思ったりもしたが、写真や絵画資料は多くある。

私はご存知の通り世界史が苦手で、映画やドラマも殆ど観ていない(主人公と一緒にドキドキハラハラしたり号泣したりうつになったりするのですごく疲れる)基礎知識ゼロで読んだので、とても参考になった。英国貴族、舐めてました。すいませんでした。くっっっっそややこしいなお前ら。こんなややこしいルールでどうやって生きてたんだ。生きてたんだけど。

令嬢の社交界デビューや婚約、結婚にフォーカスしているが、この文化を詳しく紹介しているというより、彼女達の人生の比重がそこにあったと捉えた方がいいかもしれない。男女のかけ引きが~とか、服飾品の云々細かいギミックや由来が~とか、ファッションやメイクを絵の参考にしたいんじゃ!って人は多分物足りない。

私は前述の通り、英国貴族?ナニソレ美味しいの?というレベルの教養しかなかったので、やばい沼を見てしまったカルチャーショックに、数ページ読んでは本を閉じて頭を抱えるを繰り返した。まず、貴族の定義と爵位の動きとか、女性の身分の件で30分ほど頭を抱えてしまった。なん?なんて?おん???と、頭上にクエスチョンが乱舞した。ややこしい!!!

結構薄い本ですが情報量はたっぷり。その手の創作物への解像度が上がって、より楽しめるようになる。

図説 英国貴族の令嬢 増補新装版 (ふくろうの本)

図説 英国貴族の令嬢 増補新装版 (ふくろうの本)

  • 作者:村上リコ
  • 発売日: 2020/12/25
  • メディア: 単行本
 
幻想としての〈私〉 アスペルガー的人間の時代(大饗広之)

統合失調症境界例が軽症化する一方、3割近くの若者が経験しているという人格の多元化や、アスペルガー症候群などが時代の前景に押し出されている。一般的な学生や臨床例に見られる諸現象をもとに、生物学的精神医学では捉えきれない心の深層を掘り下げる。本書ではこういった潮流を「中心のない多元化」という概念で括り、一般的な学生や臨床例に見られる諸現象を挙げながら、精神に引き起こされている今日的変容を浮き彫りにしていく。

らしい!

表紙が吸い込まれそうな不思議な魅力のある絵。なんだが、内容はうーん、すごく独特。ページ的には分厚くもなく、扱われている症例もよく纏まっていてすらすら読めるのだが、何を言っているのか読み解けない。人間失格を生まれて始めて読んだ時の「なんだこれ!?」感がある。今の私には早かった……っ!!と言う感じの本。全面敗北したので、もう少しレベルを上げてから読み直したい。

幻想としての〈私〉: アスペルガー的人間の時代

幻想としての〈私〉: アスペルガー的人間の時代

 
教養としてのスーツ (井本拓海)

副題が「センスなし、お金なし、時間なしでもできる世界レベルの着こなし」

長い。本書としては、所謂3なしでも出来るスーツの教養を紹介した本としての立ち位置。本書は男性向けなので、女性のスーツに付いては一文字も触れられていない。

まず「自分にあったワイシャツの選び方」から始まり、ミニマムに生きるためにはシャツが何枚あればいいのだろうか。だったり、無難に纏まりやすいスーツコーディネートを意識した小物の揃え方などを書いている。首を捻る部分もあるが、恐らく概ね正しいことが正しく書いてあるのだと思う。

滅茶苦茶文字が多いので被服について詳しくない人は「はぁ……(何言ってんのこの人)」と辟易する。服に興味のない人間からしてみれば、セミワイドスプレットカラーとか言われても呪文にしか聞こえない。強そうな呪文ですね。

図もあることにはあるのだが、言ってる内容に対して少なすぎるので、やっぱり何を言ってるのか分からない。途中から辟易してきて、全裸じゃなければOKじゃないかとすら思った。

ただ、ユニクロなどの吊りスーツが身体に合っていない人が多いことには、歯痒く思う部分もある。実際、私もあの手の商品は大体サイズが合わない。一度きちんとサイズをあわせた靴とジャケットを購入したが、いい買い物をしたと思っている。が、やっぱり金銭的に優先度を上位に上げにくい。実際のところ、ユニクロで全身揃えたとしても、清潔感があり全裸でなければいいと思っている。

 ルールは自分で楽しむもので、寸法がちょっと違うだけで非常識扱いされるのだったらその業界はそのまま滅んでくれて構わないと思う。シャツのポケットがないのが標準だと知ってはいるけれど、一部では需要もあるから付いているのではないか。知っていることとそれを選ぶこと、無知を非常識と判を押すことは違う。

あと文体が押し付けがましい?圧の強い感じがあるので、読んでいて面白くない。著者本体もこういう感じなのだろうと思うと、ますますお近づきになりたくない。どうぞ好きに生きていてください、という感想だ。

手入れに付いてもつらつらと書いてあるが、正直新卒の社会人ならもっと他に吸収することやお金を充てる先があると思う。行為自体が好きならしたらいい。好きではないのであれば、手入れが好きな人に委託すればいいと思う。制服としてスーツが標準だ。と強要している会社なのであれば、スーツと手入れ代まで補助してくれ。それが出来ないなら口出しするなとも思う。実際病院では、白衣は専用かごに放り込んでおけば業者が全部やってくれる。白衣自体も病院が用意する場合が多い。周りと違う白衣を着ていたら、その人の私物かスポット採用の派遣職員だ。料金は給与から天引きか、もしくは病院側が全額負担が多い。清潔な白衣を制服と規定しているので、そこは雇い主が保証しようとする姿勢をみせるのが自然だと私は感覚的に思う。

新卒はこれ読んでスーツに頭を巡らせる前に、しっかりよく寝て仕事を覚える方が余程大切だ(ただ先輩が本書を勧めてきた場合には一応読んで話だけ合わせておこう。時期が来たら縁を切ることをお勧めする)どんなに綺麗な白衣を着ていても、急変時に慌ててナースセンターに駆け込んでくるアホの方が救いようがない。新卒は致命傷だけ避けられるようになればいいと思う。制服なんて全裸じゃなければ死なないので後だ。

母という病(岡田尊司

うつ、ひきこもり、依存症、摂食障害など、精神的要因による病の原因が、じつは「母」という存在にあると主張する本。

幾つかの事例の話が出てくるのだが、最終的には著者の同じような主張に着地する。始めは新鮮に思うのだが、終始著者の主張の繰り返しになり最後の方で味に飽きてくる。また、事例紹介と著者の主張はあるが、それに対しての周囲に取れる対策は少ない。本人なりに母と向き合うなり、母側が向き合って事態が好転していくという流れが多く、なんだかなと感じた。発達障害の問題行動も母との関係によるとの主張になっている。しかし、母親をフォローする人も少ない。著者が何か対処したわけでもなく、医者も、学校も、家庭もフォローしてくれない。もう生まれたときには詰んでいるように感じてしまう。なんだかなぁ……

本書はタイトルでも分かるように母親を責める方向になってしまっている。母親の立場から本書を見れば不安になるし、責められているように感じてしまいそう。本書では母親に焦点を当てているが、父親に置き換えて考えてもよいのかなと思う。父親や周囲のフォローが無意味で母のみが子の人生に影響するなら、父親や周囲のフォロー、全て必要がないのではないか。もやもやしたものが残る書籍だった。

(017)母という病 (ポプラ新書)

(017)母という病 (ポプラ新書)