紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2021.11.15~11.19 全2冊、読了後の本感想走り書き

スポンサーリンク

急に冬になったなぁと思ってたけど、11月も実は半分終わっていたことに衝撃を覚える。あと1ヵ月半で今年終わるらしいよ。マジかー。

365日にっぽんのいろ図鑑(暦生活)

日本の伝統色を1日1色、365色紹介する書籍。色だけではなく、気象や習わし草花などと色の名前の由来なども紹介。写真も一緒に紹介しており、写真集や雑学集としても楽しめる。

日本には色々な色があって、まだ知らない見たことのないような色がたくさんあることがわかる。色出しも結構繊細で、美味く表現できないが絶妙な差の色が多い印章を覚えた。色の発色を再現して書籍にするのも大変そう。写真も日本の美しい風景といったものが多くパラパラ眺めているだけでも楽しい。図鑑としても写真集としても、色の雑学や配色の参考としても刺激になって、手元に置いて定期的に見返したい1冊。

タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源(ピーター・ゴドフリー=スミス)

著者は哲学者でありダイバー。著者は、哲学において「精神と物質の関係」は大きな考察のテーマと捕らえている。心理の本かと思って手を出したら、タコの観察日記な側面も多い。原題は「Other Minds」邦訳タイトルが盛りすぎ、ともいえるのかもしれない。しかし、水族館などでもタコをまじまじと観察したことがないので、観察日記だとしても生物の書籍としてタコの興味深さを感じた。

本書では、まず単細胞生物から進化の道筋や神経系の発達を振り返る。動物において「賢い」というのは曖昧な言葉になる。タコには合計で約5億個のニューロンがある。人間のニューロンは約1000億個だが、タコのニューロンの数は犬に近い。知性には絶対的な脳の大きさは重要だが、相対的な大きさも考慮に値する。これは、動物が身体の大きさに対して脳にどの程度投資しているかを示すことになる。相対的にみればタコは、相当脳に投資しているといえる。また、ある動物の知能を評価しようとするときに、唯一の基準が何処にもないという問題に直面する。生態がそれぞれ異なるので、動物はそれぞれ得意なことが違う。脳を工具セットとすると、どんな動物にも記憶能力や学習能力など基本的な工具は備わっているいえる。しかし、工具の中には複雑で精巧なものや持つためにコストが高いものもある。一口に高度で洗礼されているといっても、具体的には何が得意で何に役立つかは違う。

実験環境下や海でダイビング時のタコやイカの行動。また著者が観察している「オクトポリス」では、タコたちが社会性の片鱗を示しはじめているという。タコやイカ頭足類に興味があるなら読むと楽しい。それらの生物への魅力と熱意を感じられる。本書の中で、実際にタコを使用した実験論文に付いても触れてあるのだが、タコはよく脱走するし、触手突っ込んで排水溝つまらせて実験室を水浸しにしたり。空の瓶を食べられるか確認したあと遊びを開発したり、嫌いな人には制服が変わっても全員が服装統一しても水をかけてくる。条件付け実験で、エサのイワシの切り身が気に入らなかったのか、ライトが眩しくてイヤだったのか、実験用レバーをぶっ壊した話が面白すぎてタコのお茶目さに楽しい気分になる。一方で、動物虐待を防ぐための規約から無脊椎動物であるために対象にならず、神経を傷つけるような実験も麻酔なしで行われていたなどの記述に陰鬱な気分にもなった。

心についてはよくわからなかったが、タコや頭足類の話がたくさん詰まっていて楽しい書籍だった。あと、タコは私の三倍ぐらいグルメだった。