紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2021.11.21~11.30 全4冊、読了後本感想走り書き

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何着て外出すればいいのか分からない。コート?

ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学(本川達雄

面白そうなタイトルだなーと思って手に取った書籍。

動物のサイズの違いから、構成するメカニズムに一定の法則をみつけ、デザインを明らかにしようとする書籍。扱っている情報量が多く、数式が多く出てくるため、全体的にハードルの高さを感じる。動物のサイズが寿命や拍動など様々なことに影響を与え、一定の規則にあてはめて考えられることは面白い。代謝量の比率は大きく変動せず、体重の3/4乗を消費して自分の体にあったサイズの獲物を食らう。漠然と「そうだろう」と感じていたことが、しっかり法則として解説されている。生物学の書籍として興味深い入門書だと思った。

が、数式が多量に出てくるので読んでいて本を遠ざけつつ薄めになってしまう。拒否反応

ドラゴンの教科書 神話と伝説と物語(ダグラス・ナイルズ)

ツイッターで見かけて手に取った書籍。ファンタジーの世界や現実のゲームに至るまでドラゴンの情報を網羅した本。伝承は勿論ゲームや文学作品に出てくるドラゴンまで、とにかくドラゴンの情報を列挙している。とにかく幅広い情報がまとめてあり文字通りの教科書だった。知らない世界のドラゴンまで知れるので興味深いが、それぞれの内容は浅めではある。入門書か辞書、総論教科書といった印象を覚えた。

絵に隠された記憶 熊沢アート心療所の謎解きカルテ(一色さゆり)

珍しい物語。

主人公はスクールカウンセラーを目指している大学院生。インターンとして、絵画療法の行う熊沢アート心療所に訪れた。様々な背景や過去を絵画を通して解決していく中で、主人公は自身の幼少期の記憶がないことに気付いて……という、ミステリー区分なのだが、ミステリーか?これと首を捻るやつ。「このミステリーがすごい!」大賞受賞作なので、一般的にはミステリーなのかもしれない。アートセラピーや絵画の専門知識が出てきて、あまり馴染みがなく専門知識もないので「ふーんそうなのかー」と思いながら読んだ。こんな形態の心療科あるのか?精神科のデイで美術や工芸をレクに取り入れてる話は聞くけど、これ単体で施設が作れるんだろうか…などと考えてしまった。患者ごとに章が分かれているのでサクサク読める。設定に引っ掛かりは覚えたが、癖のない文章と情報量の密度で読みやすい。

背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?(ウイリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド)

読もう読もうと思って積んでた書籍。研究者による論文捏造は何故尽きないのかをテーマに様々な角度から情報を集め、考察している。教科書に載っているような歴史上の研究者にも偽装の疑惑があることなど、よくこれだけ掘り返したなぁと感心するぐらい捏造の歴史がまとめてある。見たいものを見ることは捏造なのか。予測した通りの事象のみを切り取ることは偽装なのか。これは同一視してもよいことなのだろうか、とも感じた。が、入門書として授業で触れておいた方がよいものなのだろう。卒論を書く前に読みたい書。

元々は1982年に出版された本だが、改訂版もあり私が読んだのは改訂版。2014年までの事件年表などの加筆もある。論文の再現性や職業科学者、栄光を掴みたい欲望、資金面での苦悩など。悩ましい背景も見え資料的書籍としては秀作だが、読み物としては面白くない。こんな事件があった。こんな背景があったと知ることは大切だが、研究者も人であり俗世から離れ成果や金銭を求めない聖職者ではいられないのも事実。常に清く正しくあれと願うだけでは人は生きられない。科学者もただの人ではあり、複雑な気持ちにもなる。