紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2021.05.24~05.29 全6冊、読了後の本感想走り書き

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夏にはなって欲しくないけれど、晴れてくれないと気分が憂鬱になる。

絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている(左巻健男

化学が人類の歴史にどのように影響を与えてきたかを紹介している短編集。素材ごと細切れな印象を受ける。タイトルには「化学入門」とあるが、物理も生物も何でもござれ。これ化学かぁ?と首を捻る節も多い。またタイトルに「絶対に面白い」とあるが、これもまたハードルを上げている。おも、面白いかなぁ……。個人差があると思う。文字の羅列で、世界史としての流れも科学としても流れが掴み難い。素材ごとに細切れになっているので、せめて年表ぐらいは欲しい。

元々文学が好きで文章であれば苦手意識なく読める。図は不要。世界史は得意。そういう人は恐らく本書は楽しめる。図が欲しい。分かりやすく読みたい。そういったタイプの人にはしんどいのではないかと思った。

また、この手の世界史雑学や化学の話を齧ったことがあれば、目新しさはない。あーそうだねと言う感じ。大きく広告を打ってあり大絶賛されている書籍に手を出すときは、冒頭にちゃんと目を通してから手を出そうと改めて反省した。

中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならないのか(中野京子

怖い絵の著者の本。”運命”とはあるが、怖い絵と何が違うのかよくわからない。表紙も物騒。表紙はダヴィッドの「マラーの死」この絵画の話はオタクよく知ってるのでは?暗殺者の女性ならfgoに出てくる。シャルロット・コルデーだよ。この絵は、ダヴィッドが「遺体をスケッチして」描いた作品。インターネットがない時代とは言え、結構ぶっ飛んでいる。だが、そのエピソードの割に死体としての生々しさはないと思う。

著者の怖い絵シリーズと同じく、西洋絵画に触れながら西洋史を学ぶことが出来る。

私が、へーそうだったのか。と思ったのは、ウィリアム・パウエル・フリス「鉄道駅」

”イギリスの鉄道会社はすべて民間資本で、ロンドンの中心部に基幹となる中央駅が置かれなかった。”と言うところ。勝手にイギリスの駅は、日本の東京駅のようなハブ駅のイメージがあったけれど、東京駅が異質だったのか。

イリヤ・レーピン「手術室の外科医 エヴゲーニ・パブロフ」は外科手術風景の絵画で、若干の時事ネタも含む。麻酔の発明に関しての歴史は幾つか読んだことがあったが、それに関する絵画もあるのは驚きだった。執刀医が持ってるのが蚤と木槌のみって豪快すぎるし、誰も今では御馴染みの手術風景ではないのも逆に新鮮。美術のテーマとしては散文的すぎるらしいのだが、私はこの手の絵画好き。

他書と同じく、サクサク読める読みやすい文章。怖いカテゴリーではなく、運命カテゴリーだからなのか、怖さ度は低め。比較的語り口も穏やか。

最後のフィリッピーノ・リッピ「ルクレツィアの物語」のエッセイが、女性らしい力の篭った文章で好きだ。私は女性なので、男性の処女を神聖化する発想がずっとよくわからなかったのだが”妻の産んだ子が本当に我が子かどうか、男には確かめる術がなく、ウグイスみたいにホトトギスの子を托卵されるのを何より怖れているからだ。”の一文に、「ははーなるほど!?」と思った。発情期のない人間らしい悩み、恐怖だったのか。

中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない

中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない

 
母と娘の「しんどい関係」を見直す本(石原加受子)

「しがみつく母」から解放される37のコツをまとめた本。無理しなくていいのよ、失敗したら大変よ。母親の“優しいアドバイス"をおとなしく守ってきた娘たちは、進学も、就職も、結婚も自分の希望を諦め、気がつけばいつのまにか「母親の介護予備軍」に……うーん、ホラーだったらいいのになぁ。

こんな事例がありますよ。と言う紹介がたくさんあり、「私だけじゃなかったんだ」と共感できる。そういう用途では有用。ただ、親子によって解決法は千差万別だろうから、「こんな事例のときにはこんな対応をしましょう」みたいな回答を求めていると何ともいえない。こういう書籍で紹介されるのは、こう「派手」だ。家族や家庭は閉鎖していて、比較対象が目の前の環境しかない。よくわからない閉塞感はあるけれど、原因がわからない。と言う人にはいいのではないか。私はもやもやした。

確か、カウンセリングの話題だと実際には虐待がなかったのに、聞き取りを行っていくうちに虐待経験を捏造してしまった話を思い出す。アメリカで裁判になったやつね。カウンセリングをしても、これがあなたの苦しいの原因ではないですか?と誘導するカウンセリングはちょっと危険だなと思う。

今の自身の閉塞感と母との関係がしんどいことに本当に関連性はあるんだろうか。

あと出しじゃんけんのようにも思えた。母側も何もいえないし、総合してしんどい本。

母と娘の「しんどい関係」を見直す本

母と娘の「しんどい関係」を見直す本

 
天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法(佐藤純

天気によって生じたり悪化したりする慢性の痛みを「天気痛」と名付け、2015年に出演したテレビ番組で初めて言及したのが著者。気圧による痛みや頭痛についてまとめた本。

私は偏頭痛持ちだが、一応天気による頭痛の存在を聞いたことあった。一度読んでみようかなと思って読んでみた。論文みたいで分かりやすい本ではない。暇じゃなきゃ読まないな。苦手な人は1回では読み解くの大変そう。

天気痛は怠けているわけではなく、科学的根拠はこれだと書いてある。治療方法については自分で取り組むものもあるけれど、医師による治療についても多い。実際に気圧アプリなどもあるのだが、まだまだ確立した治療法ではない。実際の治療事例も載っているので、一つの参考にはなるだろう。

私の主治医は頭痛外来の医師だが、頭痛学会では天気痛はメジャーではない様子。実際の診療の場でも、気圧による頭痛は診察できませんと但し書きしてある。ネットでは天気痛はメジャーになったように思うが、こんなに困っている人がいるのにどうして学問として活発にならないんだろう。発展しないんだろうと疑問を覚えた。本書を読むと、これは学問として研究し難いし、治療方法も確立し難いなと感じた。オーダーメイドに感覚が近い。痛みがまず評価難しく客観的数値化が難しい。しかし、そこにあるし主観的知覚もされている。西洋医療で切り難い観測し辛い話だなと思った。医療早く万能にならないかなぁと思った。万能になったらなったで、飽きて学問として医療捨てると思うけど。

残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか(更科功)

生物の進化と進化論を主軸に、ヒトの進化について書いた本。

”ヒトは心臓病・腰痛・難産になるように進化した。”

仮にも人体の学問を修めているので、もうよくよく存じておりますが。

このキャッチコピーで優勝。はい、好き。

内容はちょっと難しいかもしれない。著者の本を他にも読んだことがあるが、こっちの方がもう少し専門的かなと思う。だらだら読める本ではないし、「うおおおおおおもしれーーーーヨダレでちゃう。ひえええええ」とベッドでのたうちまわる類の本ではない。あらすじには「知的エンターテインメント」とあるけれど、そういう方向性のライトな本ではない。内容的にはシンプルなのだが、主軸のテーマに側根が大量に生えてる感じ。これで説教臭かったら別の意味でのたうち回っていたが、変に説教臭くないので「はーん」と読める。”残酷”とはあるけれど、残酷?残念?過激なタイトルの割にはそこまで過激な内容ではない。過激な内容を求めて読むと火傷する。

なんだろう。我々調査隊はアマゾンの奥地で謎の生命体を発見した!!って特番を見ていたら、現在誠意調査中で終わる感じ。

名画のネコはなんでも知っている(井出洋一郎

ネコ好きによる、ネコの出てくる絵画をひたすら紹介している本。

ルネサンスから18世紀へ、西洋近代から20世紀へ、浮世絵の猫の3章構成。フルカラー。著者と学芸員の対談方式。学芸員さんがネコ過激派。

それはいいのだけれど、なんでさりげなく犬デスられてしまうんだ……。私は犬も猫も好きなのに、喧嘩売られちゃうと買うけど!?って毛を逆立てそう。犬が何をした!!確かにぽこっと側溝に落ちる犬とかいるけど!!!確かに犬はアホの子だけど!?かわいかろ!?犬が何がした!!!

画家には猫好きが多いらしい。怖い絵シリーズなどでも見たことのある絵画もたくさんあるのだが、猫に注目した絵画の本も面白いな。と思った。

ホガースは「パグ画家」とも呼ばれる犬好き。仲間だ。犬に着目した犬好きによる絵画の本もちょっとほしい。