紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2021.1.17~24 読了後の本感想

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ねむたーくて、ねむてーくて。感想は走り書き。

ウイルスは生きている(中屋敷均)

私たちのヒトのDNAの中にも、ウイルスのような遺伝子配列が多数保存されており、生命活動で重要な役割を果たしている。つまり、体の中にウイルスがいるから、「ヒト」として存在している。ともいえる。果たしてウイルスは生命なのか?

ウイルスは生きているのか?

これは、ウイルスと細菌の違いを正しく把握していれば居るほど、回答に困る難問だ。

しかし、教科書的定義を元にすると、代謝が生物の必須条件であるとされているため、代謝をしないウイルスは生物ではない。しかし、著者は様々な論拠をもってウイルスも生物と捉えるべきではないかと主張する。

面白い内容なのだが、自論ギッシリのイラストや図解も少なめなので、読んでいて疲れる本だとも思った。ウイルスは代謝していないが、生きている。と定義すると、ウイルスは悪意持って宿主に感染しているのだろうか?それとも自身の生殖のために感染しているのだろうか。ウイルスに悪意はあるのか?といった哲学に飛び火していくと思うので、ウイルスは生物ではない。で、留めておく方が分かりやすいと私は思う。

こんなミクロの存在に悪意を見出すと、空気中に悪意が満ちている……(ドヤァ)とか、もう中世か?みたいな中二病拗らせた感が拭えなくなってしまって困りそう。生きているなら、ウイルス研究にはウイルスのために倫理委員会を設置して、ウイルスの過剰に残酷な研究は規制されて、実験動物のように研究施設内にウイルス慰霊碑とか建てるんだろうか……。もうワケがわからない。

暇つぶしや読んでいて程よく眠くなり。読み物としてはちょうどよい塩梅だった

ウイルスは生きている (講談社現代新書)

ウイルスは生きている (講談社現代新書)

 
図解版 天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある(山口真由)

東大卒の弁護士さんの本。タイトルがややこしいが、中身は根性論で拍子抜けする。努力しました、しまくりました。じゃぁ、こうなりました!と言う本。私は努力だと感じないことが天職だと思っているので、ふーんと言う感想しか出てこなかった。図解版にはなっているが文字が多い。本書の中で、読むのが得意でデザイン的なアウトプットが苦手と分析している著者が出す図解版って……まぁ、そういうことだよな。図解してない。上司にいたら部下が病みそう。

仕事がヘタすぎるから時間管理の達人になってみた(呉琢磨)

いっそ清々しい。私も10時間寝たい。今は10時間寝る体力が無い。人体のバグ。

もう時間管理が超苦手な著者が、何故か時間管理本を書いている謎本。しかも、なぜかライター業界で生きている。謎。海より深い反省、してるのか?すごい下から目線の時間管理術指南書。すごい。前提が低いw

時間管理本には所謂意識高い系も多くあるが、そんなものはハードルが高すぎる!!俺は寝るぞ!!と言う著者が失敗した方法やら今どうしているのかなどを書いている。ホワイトボードでタスク管理したりしている。出社する時とかどうするんだろうな。ちなみに、ホワイトボードのノートなるものが世の中にはあるので……それを使うといいんじゃないかな……。栄養ドリンクだとか、果ては怪しい催眠術だとか出てきて。いっそ面白い。催眠術、催眠術かぁ。この手の本で始めてお目にかかった。硬い文章も意識高い系も要らないけど、時間管理術の話がつまみ食いしたい!と言う人におすすめ。さくさく読める。尚、本書の締め切りも遅れに遅れまくったようなので、何故か死んでいないけれど、やっぱり時間管理は出来ていない。

仕事がヘタすぎるから、時間管理の達人になってみた

仕事がヘタすぎるから、時間管理の達人になってみた

  • 作者:呉 琢磨
  • 発売日: 2011/10/01
  • メディア: 単行本
 
いい人病 ゆがんだ人間関係をやめる処方箋(玉川真里)

あ、この人ももと自衛隊だわ。謎のマイブームみたいになっている。んなことはない。

「他者を軸にしない」考え方(=自分思考)を解説する臨床心理士の本。

何故他人思考になってしまうのか。を解説しているのだが、自分思考になる方法って結局魔法の方法ってないんだなぁ……知ってたけど……ってよぼよぼした気持ちになってしまった。それが出来れば苦労しないんだよなぁ。問題提起には凄く納得感がある。ただ、言っていることは難しくないし、押し付け感もないので、「はー、やっぱりそうなんだなぁ」と素直に読める。でも、やっぱり魔法の方法を探してしまうんだよ

いい人病 ~ゆがんだ人間関係をやめる処方箋~

いい人病 ~ゆがんだ人間関係をやめる処方箋~

  • 作者:玉川 真里
  • 発売日: 2018/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
すぐに真似できる 天才たちの習慣100(教養総研)

 天才の習慣や名言をまとめた本。結構分厚い謎本

100人分とはあるが、内容の薄い人が多く細かく書いてあるのは有名所ばかりで、ブログでも読んでいる方がマシな内容の薄さだった。絵本。

人それぞれ働き方が違うので、何を重視しているのかそれぞれ違うのは面白いが、真逆の習慣もあるので実戦に繋がるかといわれると……混乱するかな。結論睡眠大事。

すぐに真似できる 天才たちの習慣100

すぐに真似できる 天才たちの習慣100

 
それを真の名で呼ぶならば 危機の時代と言葉の力(レベッカ・ソルニット)

物事に真の名前をつけることは、どんな蛮行や腐敗があるのか。現在のアメリカでの危機を歴史から再考するエッセイ集。色んな賞を取っている本。エッセイ集と紹介されてこそいるが、どちらかと言うと政治評論書、ではないかと思う。

アメリカにおける人種差別・女性蔑視の苛烈さは、日本の比ではないことを再確認させてくれる。ここまで露骨なのかと一つ勉強になった。知らないことを知るいいきっかけになるし、物事や現象に名前をつけるとはどういうことなのだろう。言葉のわかりやすさばかりが多用されていないか。正しい名前をつければ、この課題が解決に向かうのではないか。今アメリカではどんなことが起きているのか。と様々なことを考える一つの切り口になる。

残念なのは翻訳。お前は旧約聖書か!?と言いたくなるぐらい読みにくい。エキサイト翻訳の方がまだ詩人ではないか。学生が辞書を読みながら翻訳したのか疑いたくなる。この翻訳家さんの本、他にも読んだことがあるけれどそんなに酷くなったと思うのだが……なぜこんなことになっているのかさっぱり理解できない。いいことを書いている本なのだろうが、衣で嵩増しされた海老天を食べているようなもどかしさがある。噛んでも噛んでも衣!!!海老は!?どこ!!!と言った感じ。英語が堪能なら原著を読んだ方がいいかもしれない……。”というか”と言う接続詞(こいつは接続詞なのか?)を評論書で見る日が来るとは夢にも思わなかった。ブログか。

本書の前書きにある文章がとてもよかったので、自身の語学力の低さに歯噛みする気持ちだ。”言葉は、事実を消したり、歪めたり、間違った方向を指し示したり、おとりや注意をそらすものを使って人を混乱させる。言葉で死体を埋めることも出来るし、それを掘り起こすことも出来る。”

これ、絶対私好きな海老なのに、海老が齧れない……!!!もどかしい……

単一民族神話の起源 <日本人>の自画像の系譜(小熊英二

大日本帝国時代から戦後にかけて「日本人」の支配的な自画像といわれる単一民族神話が、いつ、どのように発生したか。民族というアイデンティティをめぐる考察本。本書では明治中期から戦後までの日本民族論の変遷を扱っている。

ツイッターでオススメされていたので読んだが、本書は著者が1994年度に書いた修士論文。要はがっちがちの論文である。あーーー肩凝った。あと鈍器と呼んで差し支えない大作だ。著者の熱意と情熱が詰まっている。とても真摯な論文だと思う。本書は膨大な資料を取り扱っているので、かつて人々の論説がその時々の国益の擁護にいかに影響されているかの説得力もある。

日本は単一民族であるという思いは今の日本人には強いと思うが、実際には単一民族国家とは言い難い。しかし、「日本は単一民族の島国である」という認識が時代の風潮としてどこかある。著者自身も、これからの日本は多民族国家になっていかなければならないのだから、大日本帝国では単一民族神話が支配的だったに違いない。と思い込みを抱いて研究を始めたそうだ。しかし、資料を読み解いていくと実際は真逆で、戦前では単一民族思想は主流ではなく、日本帝国主義を強力に擁護・推進していたのは混合民族論だった。単一民族思想は戦後になってから主力になった思想といえる。

近隣の人々とどう共存する、その際自分たちがどのような民族なり、国民なりとして描いていくかは、世界のどこにである普遍的な課題だ。本書は前述したように90年代の論文ではあるが、この問題は多少の差異こそあれど現代でも国際的な課題になっていると思う。本書がまとめる日本民族論の変遷は、社会学や史学が、政治や時代、状況に都合のいいように捏ねられ歪められ、利用された歴史の様にも感じた。しかし、当時の状況を紐解いていくと、そうならないと言い切れる自信もないし、当時の人々を責めるのも酷だとも思う。

本文には、”自分が○○人であるだけで誇ってよく、相手が××人であるというだけで攻撃してよいと正当化してくれる神話を持つことは、非常に楽なことだろう”とある。自身を正当化するために楽な方に流れ、生きている人々の一人ひとりと向き合いながら少しずつ類型をつくる努力を怠り、神話の形成に逃避する。人間は楽な方に流れようとする。人間は自堕落な生き物だ。しかし、意識的し、神話に囚われる一歩手前で踏み止まる力は誰もが持っている。最後の言葉である「異なるものと共存するのに、神話は必要ない。必要なものは、少しばかりの強さと、叡智である」という一文は、本書のよい〆の文章だと感じた。

単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜

単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜

  • 作者:小熊 英二
  • 発売日: 1995/07/01
  • メディア: ハードカバー
 
人の殺され方 -さまざまな死とその結果(ホミサイド・ラボ)

人はどのように絶命するのか、そのあと死体はどうなるのだろうか。 溺死、毒殺、交通事故、感電死…。死因別に図解した本。私が読んだのは2004年発行版のめっちゃ古いやつ。最新版はイラスト図解と表記されているが、古いやつは白黒のガチ遺体写真がある。これ最新版も載ってるのかなぁ。私はそういうの耐性あるのでよかったけど、ダメな人はダメだろうなぁ、これ。ムック本のようなものかと思っていたら、ムック本の皮を被った法医学書だった。もっと細かい専門的な本は探せばあるのだろうが、そうなってくると医学書に足をつっこんでしまう。医学書になってくると、平気でこの厚さだとは価格帯が5000円を越えてきてしまうので、この価格帯でこの内容は中々よく出来ていると思う。死因だけを広く浅く網羅した本は探すのが難しいので、創作の参考にするのにちょうどよいと感じた。ただ、まぁ、リアルではあるので。ダメな人はダメな類の本。ダメな人は壊死した足もダメだからな。