紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2020.12.26~27 読了後の本感想

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読了後の本感想。やっぱり自学ものが多い。

医療制度改革の国際比較(田中滋/二木立:編集)

 「医療経済・政策学」シリーズ第6巻。

国際的に医療制度を比較分析し、日本医療の今後を検討した論文集。

様々な人の寄稿で成立している本である。先進諸国の医療保障・提供制度の類型論、民間保険や患者負担、プライマリーケアの国際比較、英米の医療政策評価などを主に分析している。

日本における医療経済学は、各国の制度研究がベースになっている。各国の概略は知っておくと話が早い。経年に沿って浚ってもいるので初心者が読むには手堅いと感じた。ただし、あくまで比較なので、日本のベース制度を把握しているのは前提になっており、全く知識がない状態で読む本ではないだろう。日本の医療制度に物申したいなら、最低限日本の現行制度と各国の制度を把握しておくべきだと思う。そういった意味では必修内容とも言える。

10年以上前の書籍なので古典。特にアメリカの動向に付いて最新の情報を学ぶには向かない。他書の最新書籍を掘って欲しい。

医療制度改革の国際比較 講座 医療経済・政策学 第6巻

医療制度改革の国際比較 講座 医療経済・政策学 第6巻

  • 作者:田中 滋
  • 発売日: 2007/01/20
  • メディア: 単行本
 
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術(下園壮太

どこかの記事で、身体を鍛えた自衛隊でも疲労が溜まるとうつ病になる。と聞いた。また、自衛隊メンタルヘルスが凄いとらしいと聞き、読んでみたいと思っていたメンタルヘルス本。

ムリを重ねてある日突然うつになる。イライラや不安などの感情のムダ遣いで疲労する。やる気が長続きせず仕事のパフォーマンスにムラがある……。このムリ・ムダ・ムラの三つに共通するのは「心のエネルギー」の使い方が下手なこと。本書では、自衛隊メンタルヘルスの教官が、心のエネルギーの上手なマネジメント方法、心身を疲れさせずに整える術を実践的にアドバイスする。

医学本ではないのだが、一般向けを想定して噛み砕き具体的にアプローチしやすい形で提示してある。また内容も理論的、体系的に纏まっていてわかりやすい。私は年末年始に向けて蔵書を整理しているのだが、これ家の蔵書に増やす。蔵書が増えるけど知ったことか。この著者の本は一通り拝見したい。逆に感情に任せ、所謂最近の自己啓発本のような内容を求めていると「答えがないじゃないか!!」と感じるのだろうか?と思った。私はこの手のジャンルに興味があって比較的読んでいるところだが、こんなに理論的な感情の捌き方、管理職・リーダー論が存在することに驚いた。目から鱗だ。

下手な自己啓発本メンタルヘルス本を読むより、管理職が見に付ける管理視点を学べる。とても素晴らしい書籍で、民間企業でも活用すべき点が多々あると思った。

しかし、自衛隊ホワイト企業だ。長時間の疲労と精神疲労を分析、定量見える化、常に余裕を意識し、経験と併せて健康管理をしている。

本書では管理職・リーダーが本当にすべき仕事にも触れ、「社会人なら自身で健康管理すべきである」という論調を真正面からぶん殴っている。自衛隊では、隊員を大切な戦士であると認識ケアし、急に折れてしまった場合の損失、新人教育を一から行う場合のコストも意識している。そのため武器だって人だってフルパワーは使わない。常に余剰を確保している。スポーツで言えばベンチの控え選手。確かに常に戦い続けるプロの世界はそうだ。しかし、一般企業は労働者を使い捨てにすることを厭わない体質なので、本書の内容を具体的に実施できるかは疑問を覚える。企業のお粗末な健康管理がみえる。自身が産業保健に関わった経験もあるので、一般企業の対応を思い出し少しゲンナリしてしまった。

私は完全に3段階まで蓄積疲労をためてしまっている状態なので、しっかり休んで本書の内容を実践してみようと思う。

 図説 中国酷刑史(尾鷲卓彦)

 中国四千年史は刑罰の歴史だった。想像を絶する、その種類と方法の多様さは、いかにして編み出されてきたのか。図版資料なども通して刑罰の本質に迫った本。

中国語もあるので、難しい漢字の羅列ばかりなのだが、図版は19世紀に流行した絵入り新聞を利用している。記録写真であって、図解しているわけではないので注意が必要だ。また、一部写真が残っているものは生々しい写真が載っている。肉をそがれたりしているし、写真の被写体はどれも目が死んでいる人ばかりで、どれほど残虐な行為だったのかわかる。肉が抉れていたり腸を引っ張られていたり、野蛮で物騒ではある。だが、これが正規の歴史なのだ。闇を見ている気分だ。

最後には儒教の刑罰感などの背景を振り返っている。私は並行してヨーロッパや日本などの刑罰に付いても調べているところだが、国や宗教によって刑罰感が違うのが面白いと感じている。

図説 中国酷刑史

図説 中国酷刑史

 
 ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11(バイロン・シャープ)

結果を出すマーケターが読んでいる英国ベストセラー&ロングセラー。
マーケティングの名著『How Brands Grow: What Marketers Don't Know 』の日本語版が新しい視点からマーケティングやブランドの育成方法を提案する。

本書では、理論が先行しがちなマーケティングにおいて、エビデンスに基づいた理論の実践の重要視している。

そんなすごい本なのかーと思って読み始めたのだが、エビデンスが……それエビデンスか?と思うことがある。根拠とされているデータが、根拠になっていない。見かけは繋がってるように見えるのだが……

また文章も読みにくく、さっぱり頭に入ってこない。学ぶ部分がないわけではないのだが、他書で学べないのだろうかとも思ってしまう内容だった。

もっとマーケティングの基礎の基礎から勉強しないとダメなんだろうか。