紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2020.10.22 読了後の本感想【ジャンル雑多】

スポンサーリンク

読了後の本の感想走り書き。

ヒトは「いじめ」をやめられない(中野信子

 なぜヒトはいじめるのか?機能的・歴史的・脳内物質、ヒトの内部状況から考察していく本。後半には、学校現場での現状や対策について講じている。

今いじめに苦しんでいる人が読んでラクになる本ではないが、教員や人がたくさん集まる組織に関わっている人が読むと参考になるかもしれない。中々面白い本だった。

脳内物質の章で、日本人はセロトニントランスポーターを少なくする遺伝子型が多いと言った記述があり、日本人の「空気を読む」独特の感覚はこの辺りから来ているのかなと少し納得。

後半の学校現場でのいじめの現状に付いての章。

私の卒業大学は医療系ですが、卒論は教育分野で書きました。だから、この章はとても興味深かった。私自身も卒論を書いていて、助教に止められたあの時のもやもやが文章に起こしてあった。そう、それだよ!と膝を叩く感覚になりました。

文部省ではいじめの認知件数の推移を出しています。これは、大津市の事件のあとに急に認知件数は急増しました。しかし、重大事態の発生件数は前年度より下回る。変な統計ですよね、これって。

いじめや重大事態が発生したら速やかに報告して欲しい。でも、いじめのない学校を目指して欲しい。

文部省の発しているメッセージが矛盾していると私も思います。

学校側、教育職側としてもいじめを認知したくない。自分の評価が下がってしまうかもしれないし仕事も増えてしまう。ましてや、いじめは基本的に多数対少数で、いじめを糾弾すれば多数を敵に回す。いじめではなく冗談や弄りでしたで済ませたい。これが本音なんだろうなと思います。

今の時勢を見ていても、似たような発想になっている人をちらほら見かけますね。感染症の報告だとかです。

これは、報告する努力や現場の改善に対して報われる仕組みがないのが良くない。

日本人の沈黙は金という考え方が得になっている部分もあるとは感じます。

いじめも結局、必要なのは報告させて教員や学校に責任を取らせることじゃない。

少しでも報われる形になってくれたらいいのになと思う限りです。

組織の中で、どう立ち回るのか。

いじめの回避術と言うと聞こえは悪いですが、どう向き合っていくのかにも少し触れてあります。その中で印象的だったのは、下記の項目。

・子どもは無邪気で天使のような心を持っていると考えるのは大人たちの幻想。シンプルに成熟していないヒトである、と現実を認識する必要がある。

・いじめが集団で行われている時におぞましいところは、本人側は正当性があると思っているところ。皆に迷惑をかけている人に制裁を与えているという意識を持っている。

・今日のいじめは触法行為。

・監視カメラを設置する案と現場の保守的思考。教室は既に密室である。

 

その密室に今はインターネットやLINEの更なる密室があります。教育職や学校だけで本能に対応するのは難しいと感じる部分もあります。教員のIT文化への無知さも目立つ。

国や地域、色んな人が携わって仕組みを作っていかないといけないことなのだろうと。是非国には教育の仕組みつくりに税金を使って欲しいな。 

ヒトは「いじめ」をやめられない (小学館新書)

ヒトは「いじめ」をやめられない (小学館新書)

  • 作者:中野 信子
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 新書
 
本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。”患者の気持ちがわからない”お医者さんに当たらないために(大塚篤司)

著者のアトピーの本を読んで「あ、買おう」って決めていた本。

作者の青春語りが2割ぐらいある。

あと、この長いタイトルは編集部の趣味なんだろうか。また長い。

本編読んでも「これで見抜き方は完璧だー!!」とはなりません。まぁ、医者も人間なので当たり前なのですね。わかっていたことです。医者も生き物なので。

そんな方法があれば地雷じゃない上司のいる職場に転職するぜ、私はよ!!

マジか。と思ったのは「おっと、そのレベルから話が始まるのか!?」という驚きです。最近は情報がすぐ出回って、コレステロールには鯖がいいだとか納豆がいいだとか患者さんの知識レベルが高いように思っていましたが(芸能人がガンになれば、その関連検査への問い合わせ急増します)患者さんの知識のレベルはちぐはぐなんだなと改めて感じました。

そういう意味では、全く医療のセオリーがわからない人が地雷を踏まないために知っておいたら得することが書いてあるのかもしれません。

その中に、よいパートナーを見つける参考になる部分があるのかも?

相変わらず、構成に全体的に癖があります。

凡人として生きるということ(押井守

目次でいきなりオヤジ論で始まるので、逆に面白そうで手に取った本。

読み始めは、時代錯誤なおじさんだなと言う感想だった。

若さには価値がないと述べているが、私は価値は相手の定規で決まると思う。よって、測る人によって変動すると私は思う。著者に価値がないと思うならないんだろう。

中盤辺りで発行年数を確認。オヤジ狩りとかしばらく聞かない言葉。何年前だろそれ。と、思ったら10年以上前の本だった。アキバの彼は大魔道師になってるのかもしれない。知らんけど。

所々それは古いんじゃないのか?と思う部分もあるし、言葉は荒い。昭和っぽい。

好きな人は好きそう。読んでみると文章はそれなりに面白いし、軸がブレていないし正論を言っている気がする。共感できないところもあれば、できるところもある。本当の自由はなんだろうとか、引きこもりってどういうことなんだとか。○○論で章を区切ってあるけれど、著者の頭の中にあることをそのまま書き起こしたんだろうな、と言う印象だった。

人類学的に性癖はヒトの特殊文化なので、性欲の多様化は文明の一側面なのだ。には、うんそうだな!!と思った。ヒト発情期ないからね。

ただ映画の宣伝なんだろうかとも思ったりした。観たことないな、この映画。

読み終わってから確認したらド巨匠だった。流石に私でも攻殻機動隊ぐらいは聞いたことがある。ひぇ 

凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

  • 作者:押井 守
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 新書