紙めくりて

本と文具好きのオタクがクリア冬のコスメで右往左往するブログ

2020.11.23 読了後の本感想

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読了後の本感想。走り書き。

死に至る病(キュルケゴール著/斉藤信治訳)

学生時代にも一度読んだと思うけれど、見かけたので久し振りに読んでみた。

前に読んだときも「うーん?うん?」と思いながら読んで記憶があるのだが、改めて読んでもよくわからない。文章が難しい。

キリスト教の教えを理解した上で、絶望に付いて思考し考察しこねくり回した文章だと思う。絶望に付いて複雑で拗らせた言い回しが多く、内容を理解しよう、著者の考えに共感しようと思うと深淵を覗く気持ちになる。歴史的古典の名著だとは思うが人には勧めにくい。また、宗教感覚の薄い日本人が読んでも恐らくピンと来ない。宗教色が強いのでダメな人はダメ。でも、宗教色だけで避けるのはちょっと勿体無いとも思う。

死に至る病と言う記述自体が聖書のヨハネによる福音書から来ているので、宗教色は当然でもある。副題も、教化と覚醒とを目的とする一つのキリスト教的、心理学的論述。読むためにはキリスト教の前提知識と認識が必要だと思う。

死に至る病とは絶望のことである。だが、この病で人は死なない。人間は精神であり、肉体的な意味での死に至る病は考えられない。死にたいけれども死ぬこともできずに生きていく状態、肉体の死をも越えた苦悩が絶望である。

キュルケゴールは本書の中で絶望を段階的に分けており「絶望であることを知らないでいる絶望」「自己を持っていることを意識しつつ、自覚している絶望」(強さの絶望、弱さの絶望)「罪としての絶望」と分けている。

ただ、人間は自己意識を持つからこそ誰しも絶望する。しかし、絶望から目を逸らし、続けるのはよくない。

絶望の分類辺りまでは、なるほど?と思いながら読んでいる部分もあったのだが、絶望から救済されるべく信仰に至らねばならない。と、信仰に着地されるとわけがわからない。また、人間は動物と違い自己を持ち、動物以上の存在だからこそ絶望するのだ。といった感覚(キリスト教の教え的にはそうなる)が、底の方にちらちらしていてやっぱり肌に合わない。あと、単純に文章が難解で、多分またしばらく封印する。

死に至る病 (岩波文庫)

死に至る病 (岩波文庫)